小児の前頭葉機能評価法
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概要
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前頭葉機能を理解する神経心理学的理論として、行動抑制(behavior inhibition)とワーキングメモリ(working memory)、そして実行機能(executive function)が提唱されている。このような前頭葉機能を簡便で短時間に試行可能な検査法としてfrontal assessment battery at bedside (FAB)、cognitive bias task(CBT)が成人を対象に報告されている。我々は、健常小児とADHD児を対象にFAB、CBTを小児用に修正し施行した。FAB総合点数は、健常児において年齢依存性に増加し、10歳以降で急激な上昇を認めた。ADHD児では有意に低かった。CBTは、健常児において15歳頃成人レベルに達した。年齢に伴い右前頭葉機能である文脈非依存性理論から左前頭葉機能である文脈依存性理論へシフトしていくものと考えられる。ADHD児は健常児の同年齢に比して文脈非依存性論理であった。長期的報酬予測における情動の影響を検討するため、強化学習課題であるMarkov decision task施行中の交感神経皮膚反応(SSR)を測定したところ、適切な行動選択を学習するためには事象に伴う情動表出が不可欠であることが確認された。
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