周術期の血圧管理に難渋した統合失調症患者に対する心拍動下冠動脈バイパス術の経験
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概要
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症例は57歳男性.20年前から統合失調症に対して抗精神病薬を内服していた.三枝病変を有する狭心症および発作性心房細動に対して全身麻酔下に心拍動下冠動脈バイパス術5枝(RITA-LAD,LITA-OM-D2,Ao-SVG-#4PD-#14 PL)と両側肺静脈隔離術を施行した.術中の心脱転時に輸液およびカテコラミンなどの昇圧剤に対する反応が乏しく血圧維持に難渋したがバソプレシン(ADH)を用いることで機械的補助なしに良好な血行動態を維持し得た.手術終了後もADH投与を継続した.ADH投与に伴う副作用は認めなかった.術後4日目にADHの投与を終了し12日目に独歩退院した.抗精神病薬を内服している場合,カテコラミンに耐性または過剰な反応を示すことが報告されており,本症例のように輸液負荷や昇圧剤投与でも循環動態維持が困難な場合にはADH投与が有効な選択肢の一つになりうることが示唆された.
- 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 | 論文
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