薬剤溶出性ステント挿入後のOPCAB:術後早期にチクロピジン再開後に心タンポナーデを発症した1例
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概要
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症例は,72歳男性.胸痛を主訴として受診した.心電図にてIII,aVF 誘導でST上昇,急性心筋梗塞が疑われ,緊急冠動脈造影を施行した.RCA#3 total,LAD#6 75%,#7 99%の狭窄を認め,責任病変はRCA閉塞と判断し,RCA#3へ薬剤溶出性ステント(DES)を留置した.44日後,LADへOPCAB1枝(LITA-LAD)施行した.術後ドレーン排液は,ごく少量で,DES留置中であるため,術後1日目朝よりaspirin 100 mg 1×/日,ticlopidine 200 mg 2×/日を開始した.術後2日目朝,CVP 8→16→23 mmHgと急激な上昇を認め,血行動態が不安定となった.胸部CTにて心嚢と縦隔血腫の貯留が著明であり心タンポナーデの診断にて再開胸血腫除去術を施行した.吻合部やグラフトに出血を認めず,縦隔の脂肪組織からわずかに出血を認めた程度であった.その後順調に全身状態改善し,術後19日目退院した.DES留置中であるため,閉塞予防のため術後早期に抗血小板剤を再開したが,出血による心タンポナーデを発症した,DES留置後であるがゆえの重篤な術後合併症を経験したので報告する.
- 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会の論文
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 | 論文
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