道管圧の変化が根系機能に与える影響を探る―正・負の加圧実験の出来る根電位測定系の開発と展望
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概要
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筆者1)は野外のカキノキ根系の生理活性,および地上部との相互作用の観測結果から,樹木における水の上向き能動輸送を担う根系道管側プロトンポンプの活性を制御する地上部からの信号のひとつは,蒸散作用の影響下にある道管圧である可能性を示唆している(岡本, 2010).この仮説の当否を検証する為に,著者らは苗木の幹の切断端から根系の道管に任意の水圧をかけ,根電位の変化が起きるかどうかを実験室内で計測できる装置を開発した.10~80kPaの正の水圧を加えた時,正方向に20~160mVの根電位の変化が可逆的に起きる事を数種類の樹木の苗木で確認した.活動電位やvariation potential のような一過性の変化ではなく,加圧中継続する静止電位のシフトである事,変化の方向が正であることから,道管側の起電性プロトンポンプの活性化であると考えられる.この反応はプロトンポンプの特異的阻害剤であるDCCD(5×10-4M)によって大幅に阻害された.今のところ負の水圧による根電位変化は観測されていない.
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Japanese Society for Root Research | 論文
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