咬合器シミュレータの機能印象を用いた自動調整
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概要
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患者の下顎運動機能に適した歯冠修復物の咬合面を設計するためには,患者固有の歯牙滑走運動を考慮する必要がある.しかし,現在市販されている歯科CADにおいて,歯牙滑走運動を再現する方法はまだ確立はされていない.そこで我々は,咬合器を数値シミュレーションし,歯牙滑走運動を再現する機能を開発した.この運動経路は,実際の咬合器と同様に,矢状顆路角<I>C</I><SUB>s</SUB>および矢状切歯路角<I>I</I><SUB>s</SUB>を調節することにより決定される.しかし従来は,その設定値を患者に合わせて簡便に調節することはできなかった.本研究の目的は,患者固有の口腔機能に合わせて簡便に自動調整する機能の実現である. <BR> 咬合器シミュレータの設定値を患者ごとに最適化するために,次の方法をとる:1)患者より機能印象を採得;2)機能印象形状に対してシミュレートされた運動経路形状が,できるだけ一致するようにSA(Simulated Annealing)を用いて値を決定;3)シミュレータに値を設定.そこで2つの形状の一致度を定義し,それを評価値として咬合器シミュレータの設定値を最適化する機能を試作した. <BR> 試作した機能の有効性を確かめるために,実際の咬合器から採得した機能印象を用いて,シミュレータの自動調整実験を行った.実験の結果,咬合器の設定値に対して,シミュレータに設定された値との誤差は<I>ΔI</I><SUB>s</SUB> = 0.9°,<I>ΔC</I><SUB>s</SUB> = 0.6°であった.これより,提案法により咬合器シミュレータを患者の歯牙滑走運動に合わせて簡便に自動調整できる可能性が示唆された.
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