翼口蓋窩近傍腫瘍に対する手術アプローチ法の検討
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概要
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翼口蓋窩に発生する腫瘍性病変には原発例は少なく, 隣接臓器から浸潤した続発例が多い。翼口蓋窩近傍へ進展した腫瘍に対する手術治療では, これまで解剖学的位置を考慮して様々な皮膚切開および骨切りを組み合わせたアプローチ法が行われてきたが一定のものはみられない。今回, 当科で経験した翼口蓋窩近傍の悪性腫瘍7症例を対象として, 施行された種々のアプローチ法の有用性を検討し術式の選択に関して臨床的検討を行った。7症例のうち咀嚼筋間隙原発の1例を除き他の6例は, 鼻副鼻腔, 口腔咽頭, 耳下腺などの周囲臓器から進展した続発例であった。病変の主座に応じて鼻副鼻腔領域から翼口蓋窩に進展したものに対しては前方から, 口腔咽頭領域からのものに対しては下方から, また耳下腺周囲からのものに対しては外側方からのアプローチ法が選択され有用であった。前, 下および外側の各方向から翼口蓋窩にいたるには, 顔面皮膚や顔面神経などの軟部組織の操作と共に上顎骨や下顎骨などの硬組織の操作が必要であり, またアプローチ方向と反対側の術野に制限がみられた。翼口蓋窩腫瘍の手術では, 各アプローチ法の特徴を理解した上で, それぞれの病変の占拠部位や進展範囲に応じて腫瘍の摘出操作が明視下に確実に行うことができるアプローチ法を選択することが有用と思われた。
- 耳鼻咽喉科展望会の論文
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