非血縁者間同種骨髄移植後にドナー由来の抗Jraが検出された慢性骨髄性白血病の1例
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概要
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Jra抗原は,国際輸血学会(ISBT)No.901.005に属する高頻度抗原であり,Jra陰性の頻度は日本人で約0.065%と推定されている.今回我々は,非血縁者間同種骨髄移植実施後15日目に,ドナー由来と考えられる抗Jraを検出した慢性骨髄性白血病・急性転化の症例を経験したので報告する.患者は50歳代男性,A型,RhD(+),Jr(a+),不規則抗体陰性であった.ドナーは40歳代女性,A型,RhD(+),Jr(a-)で抗Jraを保有していた.骨髄移植後12日目に直接抗グロブリン試験が,15日目に不規則抗体検査が陽転化し,抗Jraが検出された.不規則抗体陰性であった移植後9・11・14日目は,クロスマッチ適合のランダム赤血球濃厚液をそれぞれ2単位輸血し,抗Jraが検出された移植後15日目から36日目まで,Jr(a-)のRCCを計16単位輸血したが,その間,臨床的に溶血性輸血副作用を疑う所見は認めなかった.21日目に好中球の生着が確認され,39日目の輸血検査にて直接抗グロブリン試験が陰性化,さらに53日目には不規則抗体陰性となった.抗Jraの臨床的意義には議論があるが,症例を蓄積し,ドナーが不規則抗体を保有する場合において,選択すべき移植後の血液製剤に関するガイドラインが作成されることが望ましいと考えられた.
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一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 | 論文
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