ステロイドパルス療法と非侵襲的陽圧換気療法にて救命できた輸血関連急性肺障害(Transfusion-Related Acute Lung Injury,TRALI)を発症した特発性血小板減少性紫斑病合併大腸癌
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概要
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輸血関連急性肺障害(transfusion-related acute lung injury,TRALI)は輸血開始後数時間以内に急性の低酸素血症と両側肺水腫を来す疾患であり,重篤な場合には死に至ることもある.しかし特異的な疾患マーカーや診断検査がないため,診断や報告がなされていない可能性があり,正確な頻度は明らかでない.今回われわれは,特発性血小板減少性紫斑病を合併した大腸癌にTRALIを発症したと考えられた症例を報告する.症例は83歳,男性.1週間前から全身性紫斑,口腔内出血および下血が見られ,当院に救急搬送された.入院時から輸血療法とステロイド,および大量γ-グロブリン製剤投与を開始.入院4日目に,低酸素血症と胸部レントゲンにて肺水腫が出現したため,急性心不全を疑い,利尿剤を開始したが呼吸状態はさらに増悪した.6日目に非侵襲的陽圧換気療法(non-invasive positive pressure ventilation,NPPV)および,ステロイドパルス療法を開始してから徐々に呼吸状態は改善.NPPV開始から3週間経って,酸素不要となった.後日,血液センターに依頼して,輸血した血小板製剤より抗顆粒球抗体が検出され,患者顆粒球との交差試験にて陽性であったことから,抗顆粒球抗体によるTRALIと考えた.
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一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 | 論文
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