造血幹細胞移植における血縁ドナーのための専門外来
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概要
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造血幹細胞移植における血縁ドナー候補者は,非血縁ドナーと比較して,提供に対する社会的・心理的圧力にさらされやすいことが指摘されており,そのコーディネート過程における倫理性と安全性の確保は重要な課題である.今回われわれは,レシピエントの診療に直接関与しない複数の医師による,1)リスクを踏まえた上での提供意思の確認,2)共通の問診表・健康診断手順に基づく客観的な医学的適格性評価システムを骨格とする「血縁造血幹細胞ドナーのための専門外来」を開設し,2003年4月から2007年3月まで,70名のドナー候補者の適格性判定を行った.問診により「不適格」と判断された2名を除く68名で提供への同意が取得され,初回健康診断後の適格性判定結果は43名(63%)が「適格」,21名(33%)が「保留」,4名(6%)が「不適格」であった.「保留」の理由は,17件が血液あるいは尿の検査値異常,3件が心疾患の疑い,1件は神経疾患の疑いであり,追加の健康診断あるいは医学的介入後に20例が「適格」と判定された.また「不適格」であった4名のうち3例は幹細胞ソースを末梢血から骨髄に変更して再度健康診断を行った結果,「適格」と判定された.これら計66名の適格者のうち実際の提供に至った54名においては,現在まで重篤な有害事象は経験されていない.ドナー専門外来の設置が,造血幹細胞提供時のドナーの安全性確保にどの程度寄与し得るかに関しては今後さらなる検討が必要であるが,提供への意思表示過程で受けやすい血縁者間特有の心理的圧力を軽減可能とする点に関しては十分に意義を有するものと考えられた.また,特に小児ドナーに対しては,両親以外の権利保護者の立会いなど特別な配慮が必要と思われる.
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