自己抗体と同種抗体を保有する患者への赤血球輸血:主要な同種抗原を適合させた赤血球の選択と輸血効果の検討
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概要
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自己抗体は, 不規則抗体検査においてすべてのパネル血球と反応し, しばしば臨床的に重要な同種抗体の存在を隠蔽する. 同種抗体を検出するため, ZZAPやPEG (polyethylene glycol) 吸着法を用いて患者血清中の自己抗体を除去した. また, 輸血効果と溶血性副作用の有無の評価には, それぞれ輸血前後のヘモグロビン上昇率 (%Hb) とLDH値の変動率を用いた.自己抗体を保有した5名の非AIHA (autoimmune hemolytic anemia) 患者で, 自己抗体を吸着除去した上清中に抗Dia, 抗E, 抗c+E, 抗c+E+Jkb+Dia, 抗C+eをそれぞれ検出した. これらの患者へは同種抗体に対する抗原陰性の赤血球を輸血した. 対応抗原陰性血を輸血した自己抗体保有群の%Hbは平均89%で, コントロール群 (平均84%) との差は無かった. また, 輸血後のLDH値にも有意な変動はなく, 両群間の比較でも差を認めなかった.自己抗体を保有する患者においては, 同種抗体の検出には自己抗体吸着法が有用であった. また, 自己抗体と同種抗体をもつ非AIHA患者への輸血には, 主要な同種抗原を適合させた赤血球が効果的であった.
- 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会の論文
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