シナカルセトが著効を呈したカルシフィラキシスの1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は50歳代の男性.慢性糸球体腎炎による腎不全にて20代で血液透析に導入となり,腎移植により10年間透析を離脱したが,その後血液透析に再導入された.急速に進行する有痛性の左下肢潰瘍のため当院紹介受診した.足背動脈の触知は良好であり,カルシフィラキシスが疑われ入院となった.入院時,血清補正Ca値11.7 mg/dL,P値6.3 mg/dL,intact PTH値87 pg/mLと高Caおよび高P血症を認めた.MIBIシンチグラフィー,造影CT検査にて縦隔内に腫大した異所性副甲状腺を認め,二次性副甲状腺機能亢進症の併存と考えられた.皮膚生検では,潰瘍病変,真皮深層への石灰沈着像を認め,カルシフィラキシスに矛盾しない所見だった.抗菌薬の全身投与,局所処置を継続し,厳格なCa,P管理を行った.二次性副甲状腺機能亢進症に対して,副甲状腺摘除術を検討したが,異所性副甲状腺が縦隔内に存在し手術が容易でないことから,シナカルセト25 mg/日の投与を開始したところ,管理困難であった血清Ca,P値は管理目標値内に維持され,下肢潰瘍も改善した.本邦において,カルシフィラキシスに対してカルシウム受容体作動薬であるシナカルセトの臨床的有効性を示した報告は少ない.シナカルセトが二次性副甲状腺機能亢進症患者のカルシフィラキシスに対する有効な治療手段となる可能性が示唆された.
- 一般社団法人 日本透析医学会の論文
一般社団法人 日本透析医学会 | 論文
- 透析看護 「血液透析患者の水分管理の自己効力尺度」の開発 : 信頼性と妥当性の検討
- 血液透析患者におけるそう痒症の実態とナルフラフィン塩酸塩の臨床効果 : 東海地区17施設における1,936例のアンケート調査
- タイトル無し
- タイトル無し
- タイトル無し