腸閉塞で発症し,腹部CTが早期診断に有用であった小腸アニサキス症の6例
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概要
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小腸アニサキス症は強い腹痛および炎症所見を呈し,診断が困難で急性腹症として開腹される例が多く報告されている。今回我々は,①発症前数日以内の鮮魚の生食,②腹部CT上腸閉塞など特徴的所見,によりER受診当日に小腸アニサキスと診断し,保存的加療にて改善した6例を経験した。[症例1]54歳の男性。生秋刀魚を摂食した3日後,上腹部痛が出現した。[症例2]63歳の男性。生鯖を摂食した2日後に臍周囲痛・嘔吐が出現した。[症例3]57歳の男性。ほぼ毎日刺身を摂食していたが,受診前夜よりの腹部全体の間欠痛が出現した。[症例4]36歳の男性。生鰹を摂食した翌日に心窩部痛・嘔吐が出現した。[症例5]63歳の女性。生サンマを摂食した翌日,下腹部痛・嘔気が出現した。[症例6]55歳の男性。しめ鯖を摂食した2日後,心窩部から臍周囲にかけての腹痛出現が出現した。全例において来院時の腹部造影CT上,造影効果を伴う限局性・全周性の小腸壁の肥厚と内腔の狭小化,および口側の小腸の拡張と液面形成,腹水貯留を認めた。小腸アニサキスと診断し,保存的加療にて改善した。後日来院時と発症4-5週とのペア血清で特異的抗アニサキス抗体価の上昇を確認した。発症前数日以内に鮮魚を生食後,強い腹痛を主訴に来院し,特徴的な腹部造影CT所見を呈した患者は,小腸アニサキス症を常に念頭に置き,早期診断,治療をする必要があると考えられた。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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