救命救急センターにおいて治療された高エネルギー外傷による四肢骨折内固定患者の長期予後
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概要
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本邦の救命救急センターは高エネルギー外傷による骨折患者の初期治療を行う役割をもつが,内固定術後の長期予後はこれまで報告されていなかった。本研究の目的は救命救急センターで内固定手術を受けた骨折の骨癒合率や再手術率,再手術の危険因子を検討することにある。2010年6月までの5年間に当センターで内固定手術を受けた高エネルギー外傷による四肢骨折患者272名,363骨折を対象とした。患者年齢,受傷機転,ISS,骨折部位,開放骨折の有無や,その後の治療経過を当院の電子カルテシステムを用いて調査した。転医した患者についてはその施設へ書面による調査を行った。患者年齢の中央値は37歳,受傷原因はバイク事故が最も多く,次いで高所からの墜落,自動車事故の順であった。骨折部位は大腿骨骨幹部骨折が最も多く,次いで脛骨骨幹部骨折が続いた。開放骨折は全体の39.4%に認められた。363骨折のうち,最終的に治療終了まで経過観察できたと判断された骨折は324骨折(89.3%)あり,その観察期間の中央値は19か月であった。このうち90骨折(27.8%)が内固定後に予期せぬ再手術を受けていた。その理由は,術後感染,偽関節,遷延癒合の順に多く,再手術の時期は中央値で内固定後112日であった。最終転帰は良好な骨癒合を達成できたのが313骨折で経過観察できた患者の96.6%を占めたが,関節固定術(4骨折),切断(3骨折),偽関節のまま終了(2骨折),人工関節置換(1骨折),慢性骨髄炎のまま終了(1骨折)と,必ずしも機能予後は良好でないものも含まれていた。ロジスティック回帰分析により,下肢骨折であること,開放骨折であること,多発外傷であることの3つの変数が有意に再手術の危険因子であることが明らかとなった。高エネルギー外傷後に内固定を受けた四肢骨折は予期せぬ再手術を受ける可能性が少なくなく,とくに下肢骨折や開放骨折例,多発外傷例では術後長期の経過観察が極めて重要であると考えられた。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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