小児専門施設レジデントの蘇生教育にシミュレーションは有効か?
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概要
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【背景・目的】近年シミュレーションを用いた蘇生教育が広く行われるようになったが,その効果についての検証は乏しい。このため,シミュレーションのシナリオでの診療の各要素の施行率と施行までの所要時間を測定し,教育効果の検討を行った。【対象】国立成育医療センター2009年度新規採用レジデント24 名(初期研修医11 名,小児科医11名,その他2名)。卒後年数は中央値3.5 年(最小2-最大9 年)。23 名がpediatric advanced life support(PALS)プロバイダーで,受講後期間は中央値7 か月(最小1-最大52か月)。【方法】対象をシナリオシミュレーションを用いた実習群(S群)・コントロール群(C群)の2群に分け,S群は約3ヶ月間,週1日30分間・2シナリオ,計12回実習を施行した。シナリオは心室細動,無脈性電気活動,心静止のいずれかとした。実習終了前後で,乳児心室細動のシナリオシミュレーションを用いたテスト(7分間)を行い,心肺蘇生の各要素施行までの時間およびCPR継続時間を計測した。【結果】① 実習後のテストでは,S群はC群より胸骨圧迫までの所用時間は短縮し(p=0.04),CPR継続時間も増加していた(p=0.002)。② S群の実習前後の比較では,人工呼吸開始(p=0.03),胸骨圧迫開始(p=0.002),除細動(p=0.005)までの所要時間が早くなり,またCPR継続時間も延長していた(p=0.002)。【考察】心停止症例への対応を主目的に,同一のシナリオを反復し,実習の回数を増加させることで教育効果が得られた。しかし,院内蘇生教育の時間確保や,不充分な結果の者への教育は今後の課題である。またシミュレーションを用いた教育では,時間経過に伴う知識・技術の低下が指摘されており,今後,実習の継続期間や頻度について検討が必要である。
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一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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