動脈圧ラインに使用したヘパリン加生食によるヘパリン起因性血小板減少症の1例
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概要
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骨盤骨折の術後経過中に,観血的動脈圧測定用のライン(以下動脈圧ラインと略す)内に含まれるヘパリン加生食によりヘパリン起因性血小板減少症を来した1例を経験した。症例は43歳の男性で,高所からの墜落外傷により当院へ搬送となった。骨盤骨折を認めたが,保存的加療で循環動態は安定した。入院後,血小板数は減少傾向にあったが,外傷後の変化と考え,経過観察した。骨盤骨折に対して観血的整復術を施行後,血小板数の減少は一旦改善を認めたが,第7病日より再び血小板数の減少を来し,血小板数は2.7×10<SUP>4</SUP>/μlにまで低下した。ヘパリン起因性血小板減少症を疑い,動脈圧ライン内に含まれたヘパリンを含む全てのヘパリン製剤を中止し,アルガトロバンの投与を開始したところ,血小板数の改善を認めた。抗血小板抗体は陰性であり,抗ヘパリン血小板第4因子複合体抗体検査は陽性であったことが後に判明し,ヘパリン起因性血小板減少症と診断した。動脈圧ラインに用いられるヘパリン加生食に関連した本症は稀であるが,いかなる投与量・経路でも発症しうるため,観血的動脈圧測定による合併症として常に注意する必要がある。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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