ドクターヘリ搬送症例における病院前胸腔ドレナージの有効性
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概要
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背景・目的 : ドクターヘリは現場からの医師の緊急処置を可能にするツールであり, 外傷性血気胸に対しては迅速な胸腔ドレナージが可能である。今回われわれは, ドクターヘリ搬送例における現場での胸腔ドレナージについて自験例を分析し, その有効性について検討した。対象・方法 : 2003年4月からの2年9か月間に, 神奈川県ドクターヘリにて搬送した外傷性血気胸59例のうち, 病院収容前に胸腔ドレナージを施行した22例を対象とし, 救急搬送記録・診療録を検討した。結果 : ドレナージ・チューブは第4~5肋間・中腋窩線より計25本 (片側19例, 両側3例) 挿入。チューブサイズは28Fr18本, 24Fr7本。挿入時に全例で脱気を認めた。救急車搬送と比較して初期治療開始は31.2±21.7分短縮したと推計され, 現場滞在時間は27.0±9.4分であった。ヘリ現着時収縮期血圧90mmHg未満の8例では, ヘリ収容時及び病院収容時の収縮期血圧は, ヘリ現着時より有意に改善し (p<0.05), 病院収容時のRTSはヘリ現着時と比較して有意に改善し (p<0.05), またヘリ現着時収縮期血圧90mmHg以上の14例中6例に気管挿管を要したが, 搬送中に緊張性気胸を併発したものはなく, 病院等到着時に頻呼吸の割合は減少した。2例 (9.1%) にチューブ挿入部の感染を認めた。軽快退院17例, 死亡5例で, うち4例は受傷当日に主として胸腔または腹腔内大量出血のため死亡した。考察・結語 : 外傷性血気胸症例に対するドクターヘリ搭乗医師による現場での胸腔ドレナージは, 緊張性気胸等, 循環循環動態不安定な症例に対してとくに有効であり, 現場で気管挿管を必要とした症例の緊張性気胸を予防して呼吸状態を改善した。
- 一般社団法人 日本救急医学会の論文
一般社団法人 日本救急医学会 | 論文
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