北海道北部山地河川における細粒土砂の堆積がイトウの産卵環境および発眼卵生残率に及ぼす影響
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概要
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本研究は,北海道北部の山地河川において,細粒土砂の堆積がイトウの産卵床環境や卵の生残に及ぼす影響について検討した.その結果,溶存酸素濃度の低下により,発眼卵の生残率が低下する傾向が得られた.さらに,細粒土砂の堆積量の増加に伴い産卵床の透水係数や産室への物質の浸透性および熱の伝導性が低下することが示された.本研究の調査対象河川では細粒土砂の堆積量が低いレベルにあったため,卵の生残率に対する細粒土砂堆積の直接的な影響については明らかにすることはできなかった.よって,今後は細粒土砂の堆積が多い河川での調査や室内実験による検証作業によりどの程度の堆積量がイトウの卵の生残や発育に許容されるかについて検討すると同時に,細粒土砂の堆積を介した産卵床内部の温度環境の変化の影響についても明らかにする必要がある.
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