ハクサイ栽培でのカバークロップ利用による土壌風食の抑制
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概要
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本研究では,冬季乾燥期における秋冬野菜収穫地での土壌風食を防止するためにカバークロップを利用し,生産性と土壌・環境保全の調和した農作業システムを検討することを目的とした.ここでは,ハクサイ生育期間中の畝間にカバークロップを播種する体系を検討した.実験の要因として播種時期を3水準(10月および11月上旬,11月中下旬,および12月),カバークロップの種類を3水準(ライムギ,エンバク,無処理区)とし,3反復で行った.実験は,2004年8月から2005年4月までおよび2005年8月から2006年4月まで実施した.結果の大要は以下のとおりである.<BR>1) ハクサイの収量は,カバークロップ利用条件下でカバークロップの種類および播種時期の違いによる差異は認められなかった.<BR>2)カバークロップの草丈および乾物重はいずれの調査時期においても10月中旬および11月上旬播種区ではエンバクに比べライムギが大きく,播種時期が遅れるにしたがって,乾物重は小さくなった.<BR>3)風洞を用いた風速分布をみると,10月中旬および11月上旬播種区ではライムギ,エンバクともに地上5cmの高さでの風速が土壌風食の発生風速である3m/s以下に抑制された.<BR>4)カバークロップの乾物重と相対風速を累乗近似した結果,有意な相関関係が示された.カバークロップの乾物重が約50~100g/m<SUP>2</SUP>程度であれば今回用いたカバークロップ草種において風速を3m/s以下にすることが可能であり土壌風食を抑制すると考えられた.<BR>5) 以上の結果から,秋野菜栽培の畝間にイネ科のカバークロップを播種し,秋野菜収穫後それらの植生が地面の風速を抑制する農作業技術は,地域における持続的な農業確立のために一定の貢献する可能性がある.
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