粘土ナノシートにより形成される機能性色素材料
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概要
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色素材料として用いられるものは一般的に顔料と染料に分けられる。本総説では有機色素と無機ナノシートの複合体について記述する。ナノシート材料には,層状半導体,層状金属酸化物,グラファイト等さまざまなものが挙げられるが,ここではおもに粘土鉱物を取り上げる。この粘土鉱物をホスト材料,有機色素分子をゲスト材料とした有機-無機複合体は,ほかの材料には見られない特異な構造,有用な機能性をもち,また顔料としても染料としても利用できる可能性を秘める非常に興味深い材料である。通常無機固体表面上では色素分子は不規則に集合してしまい,光化学的に有用な性質をもたせることが難しい。最近,われわれは有機色素-無機ナノシート複合体においては特定の条件下において,色素分子が高密度かつ無会合の集合構造をとることができる,分子の発光性能が向上するなどの興味深い特性を見いだしている。本稿ではこのような光機能性に焦点をあて,有機色素-無機ナノシート複合体の構造や性質,その機能の発現メカニズム,応用について記述する。
- Japan Society of Colour Materialの論文