岡山県児島湾における堆積物を用いた過去100年間の海底環境変遷と人造湖形成の影響評価
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概要
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堆積物の物理,化学特性を用いて,1959年に岡山県児島湾の西部に形成された児島湖が海底環境に及ぼした影響について検討した。児島湖の粒度分布は沿岸付近では波浪の影響が強く,中央部では小さくなることを示す。児島湾は細粒シルトが分布する停滞的な水理状態であることを示す。表層堆積物のリン分析結果は,鉄,アルミニウム酸化物と結合したリンの寄与が高く,これら濃度変化は淡水-海水における挙動の違いを反映している。1960年以前の児島湖,児島湾奥部の柱状堆積物の岩相は生物擾乱が観察されるシルトで,これは湖形成前の湾内が停滞的で,ウニなどの底生生物が活動する海域であったことを示す。児島湖形成以降,堆積物は暗色化し,ラミナが観察される。これら変化は,児島湖が閉鎖性の強い水域で,河川から供給される栄養塩や有機物が滞留して富栄養化,貧酸素化が進行し,その結果,底生生物の活動は小さくなったことを示す。一方,児島湾湾口の堆積物は細粒砂からシルトへの急激な泥質化を示す。海底地形,粒度分布,<SUP>137</SUP>Csの結果は,この泥質化が少なくとも1950年以降に潮流が減少したことによって起きたことを示し,この変化は児島湖形成に伴う地形改変が影響している可能性が高い。
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