カンボジア・トンレサップ湖の電気伝導度の変化について
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概要
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カンボジアにあるトンレサップ湖は東南アジアで最大の面積を占める淡水湖であり,乾季の面積は2,500 km2であるが,それに対して雨季には12,500 km2にもなる。この変化は,雨季にメコン河の水がトンレサップ河を通じて逆流することによって生じ,メコン河の水理特性と密接に関係していて,湖の水質に大きな影響を与えている。しかし,この湖の陸水学的特徴や水質に付いての基礎的なデータはほとんどない。この湖の陸水学的な調査は,最近始まったばかりである。<BR> この論文では,電気伝導度の変化に基づいてこの湖の特徴を述べている。湖岸の電気伝導度と水深は,乾季には0.5 mと40 μS cm-1位であり,雨季には8 mと120μS cm-1位である。つまり,乾季にはどちらも大きく,雨季には小さくなる。しかし,沖合の電気伝導度は,年間を通じて100~120μS cm-1で,ほぼ一定の大きな値を示す。これは,雨季にメコン川から逆流して来た水が,乾季にも沖に滞留しているからであろうと思われる。シェムリアプ川の河口近くで乾季に伝導度が小さくなるのは,川から電気伝導度の小さい水が流入するためであり,雨季に電気伝導度が大きくなるのはメコン川から逆流してきた水の影響である。
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