沖縄島米軍中部訓練場内における河川水の化学的研究
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概要
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沖縄島に置かれた米軍施設,中部訓練場(CTA)内河川水は水質汚濁が少なく,化学組成に関する基礎データの収集に適している。本研究では,CTA内河川水の溶存成分濃度を測定し,沖縄島の他地域と比較することによって,その化学像を明らかにすることを目的とした。 その結果,CTA内の河川水は沖縄島北部ケイ酸塩岩石地域(北部訓練場,NTA)の河川水と,沖縄島南部石灰岩地域の地下水との中間的な化学組成を持つことが明らかになった。これは沖縄島の地質を反映した結果だと考えられる。全溶存成分濃度(4.75 meq L-1)のうち,海塩起源が平均2.73 meq L-1であった。これは日本の河川水におけるその濃度の約7倍であった。ほとんどの河川で海塩起源濃度が全濃度の50%以上を占めていた。岩石の化学的風化反応式に基づいて計算した風化量はCTAとNTAでほぼ同じくらいであったが,そのうちのCaCO3溶解量には差があった。CTA内河川流域に存在する石灰岩の影響があることを示している。CTA内河川では,懸濁物流出量>粘土生成量の関係がみられ,森林土壌の損失やそれによる河川・海洋の汚染も問題である。
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