劇症1型糖尿病の発症とバセドウ病の顕在化をほぼ同時期に認めた1例
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概要
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症例は38歳,女性.2006年12月29日より悪心,嘔吐,口渇感あり,症状が徐々に増悪し,2007年1月1日に当院救急外来を受診した.尿ケトン体3+, 血糖値793 mg/dl, pH 7.116を認め,糖尿病性ケトアシドーシスと診断し,入院となった.入院時のHbA1cは5.9%であり,膵島関連自己抗体は全て陰性,内因性インスリン分泌能も枯渇していたことから,劇症1型糖尿病と診断した.輸液およびインスリン療法により諸症状は軽快したが,頻脈が改善しないことから,甲状腺関連検査を施行した.甲状腺ホルモン濃度の上昇とTSHレセプター抗体の陽性を認め,バセドウ病と診断した.HLA genotype解析では,DRB1*0405-DQB1*0401, DRB1*1302-DQB1*0604を有していた.T-helper (Th) 1関連ケモカインである,interferon-inducible protein-10 (IP-10)の血漿濃度が,発症時と治療6カ月後において,それぞれ141 pg/ml, 143 pg/mlと上昇を認めていた.今回,われわれは劇症1型糖尿病の発症とバセドウ病の顕在化をほぼ同時期に認めた稀な症例を経験した.両疾患の発症に共通した要因が潜在している可能性など多くの可能性が考えられ,示唆に富んだ症例と考え報告する.
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一般社団法人 日本糖尿病学会 | 論文
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