膵外分泌酵素の上昇が遷延した劇症1型糖尿病の1例
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概要
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症例は63歳, 女性. 糖尿病の家族歴なし. 2002年10月中旬より食思不振, 体重減少が出現し, 同月28日より口渇が著明となったため, 近医を受診した. 随時血糖435mg/dl , 尿ケトン体強陽性, 頻回の嘔吐, 意識障害を認め, 当院内科に紹介入院となった. 血糖967mg/dl , 代謝性アシドーシスを認めたが, HbA1cの増加は軽度 (7.3%) であった. アミラーゼ3,881IU/l , リパーゼ2,110IU/l , エラスターゼ11,470ng/dl と膵外分泌酵素の著増を認めたが, 腹痛はなく, 腹部CT上膵腫大も認めなかった. 尿中CPR 5μg/日と著減していたが, 抗GAD抗体, IA-2抗体, ICAはいずれも陰性で, 本例を非自己免疫性劇症1型糖尿病と診断した. 入院後, 膵外分泌酵素は比較的速やかに減少したが, 軽度高値が持続し, 正常化までに約4カ月を要した. 本例のごとく, 膵外分泌酵素の上昇が遷延する症例がどの程度の割合で存在するのか, また, 遷延の機序やその後の臨床経過に与える影響など, 今後, 症例の集積が必要と考えられる.
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一般社団法人 日本糖尿病学会 | 論文
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