OSL強度より推定する現世河川堆積物中の長石粒子の露光状況と運搬—堆積過程
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概要
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OSL(光ルミネッセンス)は近年OSL年代測定法として,第四紀砕屑物の堆積年代測定に広く用いられている.本研究では,鉱物が十分露光することによりOSL信号がリセットされることを利用し,現世河川における砂質堆積物の運搬—堆積過程と長石粒子の露光状況の関連を検討した.近畿地方北部の二つの水系において,砂州表層堆積物と2004年に形成された洪水堆積物よりアルカリ長石粒子を抽出し,OSL強度に基づき各サンプルに最近露光した粒子が含まれる割合(露光率)を算出した.その結果,通常時には河川内の砂粒子は短距離の運搬—堆積を繰り返すこと,そして砂州の水上部への露出が多い河川上流および支流部では,砂粒子が下流域より効率的に露光することなどが推定された.これらの結果は,河川堆積物中のどのような堆積相(堆積環境)がOSL年代測定に適するかを示唆するとともに,OSL測定技術を砂質堆積物の運搬—堆積過程の解析に活用できることを示している.
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