大阪湾海底堆積物の環境磁気分析―海水環境との相関
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概要
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大阪湾の海水組成と海底堆積物の磁気特性の分析を行い,初期続成による酸化鉄鉱物の溶解と硫化鉄鉱物の形成に,海水環境が及ぼす影響を考察した.大阪湾の海水構造は,夏場に湾奥部で密度成層が強くなり,海底に貧酸素水塊が形成されていたが,湾奥部だけではなく,海底が溶存酸素に富む湾中央部でも,表層堆積物はフランボイダルパイライトとグレイガイトが形成される還元的な環境であった.これは,湾に多量に供給される有機物を分解するために,溶存酸素が堆積物のごく表層で消費されるためと考えられる.一方,海底の溶存酸素とヘマタイトの含有率との間に,明瞭な対応関係が見られた.これは,溶存酸素に富み,酸化鉄の溶解があまり進んでいない湾中央部では,ヘマタイトが選択的に溶け残っていることを反映していると考えられる.ヘマタイトの含有率の磁気的指標であるS比が,大阪湾では海水環境の指標となる可能性がある.
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