当院における上腸間膜動脈塞栓症の治療方針に関する後向き検討
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概要
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【緒言】上腸間膜動脈塞栓症(以下,SMA塞栓症)はまれであり致死的な疾患である。治療として手術や血管内治療があるが,どちらを選択すべきかは定かではないのが現状である。今回われわれは,当院でのSMA塞栓症例について治療方法に関して検討した。【対象と方法】2001年4月から2010年4月までに当院で経験したSMA塞栓症22例を対象とした。治療法は全22例のうち12例に手術,4例に血管内治療,2例に全身ヘパリン化療法を施行し,4例は無治療であった。このうち手術群(以下,Op群)12例と血管内治療群(以下,Iv群)4例について,救命率や来院時の血液生化学的検査(白血球数,CRP,CPK,LDH,ALP,BE),腹部CT検査所見(腸管気腫,腹水,腸管拡張の有無),および発症から治療開始までの時間について比較検討した。【結果】救命率はOp群で9/12例(75%),Iv群で4/4例(100%)で有意差を認めなかった(p=0.27)。血液生化学的検査において,CRPのみ両群間で統計学的に有意差を認めた(Op群:Iv群=9.3±10.2:0.4±0.5,p<0.05)。腹部CT検査所見では,「腸管拡張の有無」に有意差を認めた(p<0.05)。「腸管気腫」に関しては有意差を認めなかったが,Op群3例にのみ認めた。発症から治療開始までの時間は,Iv群の方が有意に短かった(Op群:Iv群=24±19hr:9±3hr,p<0.05)。【結論】SMA塞栓症の治療方針決定には発症から治療開始までの時間,CRP値と腹部CT検査所見における腸管気腫,腸管拡張の有無が有用である。
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