十二指腸水平脚まで脱出し緊急手術を要した胃脂肪腫の1例
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概要
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症例は58歳の男性。腹満,嘔吐,タール便を主訴に受診した。受診時,腹部正中に手拳大の腫瘤を触知し,Hb5.9g/dLと著明な貧血を呈していた。上部消化管内視鏡検査,腹部造影CT検査,上部消化管造影検査にて,胃脂肪腫の十二指腸水平脚までの脱出および,それに伴う腫瘤表面の胃粘膜からの出血と診断し,緊急手術を行った。手術所見では,胃幽門輪から十二指腸へ向けて胃が重積しているのが観察され,十二指腸は球部から水平脚まで拡張し,内部に最大径10cmを超える腫瘤を触知した。Hutchinson手技で整復して,腫瘤を胃内に戻し,幽門側胃切除を行った。術後に吻合部潰瘍を合併したが保存的に軽快し,術後20日目に退院となった。病理組織学的検査では,11.0×6.5×6.0cmの胃脂肪腫と診断した。胃粘膜下腫瘍が十二指腸に脱出すると,出血や閉塞症状により緊急手術が必要となり得る。自験例に若干の文献的考察を加えて報告する。
- 日本腹部救急医学会の論文
日本腹部救急医学会 | 論文
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