右椎骨動脈閉塞により両側上肢麻痺を呈した小脳・脊髄梗塞の1例
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概要
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症例は73歳男性である.浮動性眩暈と両肩痛,両上肢脱力が数時間かけて段階的に出現した.神経学的に両側上腕三頭筋,手根屈筋・伸筋の筋力低下,失調性歩行,両側C6,7,8領域の温痛覚低下をみとめた.下肢筋力,深部感覚は正常だった.頭部MRIで右小脳梗塞と右椎骨動脈閉塞をみとめ,頸椎MRIでは頸椎症性変化によりC3/4~C5/6に脊髄の圧迫をみとめたが,髄内信号変化はなかった.翌日の頸椎MRI T2強調画像では,C5~C6レベルに縦長の高信号域をみとめた.本例は,頸髄圧迫による慢性の循環障害を背景に,右椎骨動脈閉塞により複数の灌流が同時に低下し,脊髄水平面の分水嶺梗塞を発症したと推察された.
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