黄色ブドウ球菌性髄膜炎の経過中に多発神経根症による不全四肢麻痺を呈し副腎皮質ステロイド治療が奏効したと考えられる1例
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
症例は44歳女性である.黄色ブドウ球菌性髄膜炎により入院したが,第5病日から両下肢遠位優位の脱力が出現し,上行性に進行して不全四肢麻痺となった.神経伝導検査は運動・感覚神経の振幅,伝導速度,終末潜時は正常であったがF波が消失していた.脊髄MRIで仙骨神経根に造影効果がみとめられた.抗生剤投与後に副腎皮質ステロイド治療が開始され,四肢麻痺は改善していった.四肢麻痺の改善と共にF波は顕在化した.不全四肢麻痺の機序として重症細菌性髄膜炎にともなう多発神経根症が考えられた.渉猟したかぎりでは黄色ブドウ球菌性髄膜炎で多発神経根症を呈した報告例はない.副腎皮質ステロイド治療の多発神経根炎に対する有効性が示唆された.
- 日本神経学会の論文
日本神経学会 | 論文
- 書字動作の神経科学 : 書字運動の計算理論モデルを中心に
- 重症筋無力症に合併した難治性バセドウ眼症の1例
- 神経サルコイドーシスの診断基準案
- 大腸癌とその転移にともなう凝固線溶系の異常により脊髄円錐部出血をきたした1例
- 垂直性共同視麻痺を呈した両側延髄内側梗塞の1例