シンポジウム14‐3 神経変性をどう考えるか? 病態理解にいたる最近の進歩 TGF-βシグナルからみた神経変性機序
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概要
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Transforming growth factor-β(TGF-β)は細胞の増殖・分化・移動などを制御する多機能サイトカインであり,ニューロンに対してもtrophic factorとして機能し,その生存や機能を支持することが示されている.球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲン受容体(AR)遺伝子におけるCAGくりかえし配列の異常延長を原因とする下位運動ニューロン疾患であるが,SBMAのモデルマウスおよび患者組織では変異ARによりII型TGF-β受容体の発現が低下し,シグナルを伝達する転写因子であるSmad2のリン酸化・核内移行が抑制されることが報告されている.また,筋萎縮性側索硬化症ではTGF-βシグナルの調整因子であるZNF512Bの遺伝子プロモーター領域の塩基多型が疾患感受性に関与していると報告されている.TGF-βシグナルの異常はそのほか脊髄性筋萎縮症や遺伝性痙性対麻痺でも報告されており,運動ニューロン変性のメカニズムとして重要であると考えられる.
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