パーキンソン病における認知障害の研究:とくに社会的認知機能障害と扁桃体機能障害との関連について
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概要
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パーキンソン病(PD)の認知機能障害というと,手続き記憶障害,遂行機能障害,視空間認知障害,嗅覚障害,それに加えて病的賭博などの社会行動障害などが記載されてきた.われわれは,PDにおけるこれらの認知機能に加えて社会的認知機能(Social cognitive function)に着目し,とくに病初期症例で検討した.社会的認知機能には,表情認知機能,意思決定機能,さらに,自閉症で詳しく検討され,機能の大脳責任部位が明らかにされつつある他者心理推測機能などがふくまれる.その結果,PDでは,表情認知・意思決定・他者心理の推測機能のいずれにおいても異常がみられ,脳波のダイポール課題の結果などから,それらの障害がとくに扁桃体機能障害と関連することを明らかにした.PDは運動障害のいわゆる4徴候以外に,早期から各種認知機能障害がみられ,PDは今,新しい角度から捉えなおさなければならない疾患であると思われる.
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