くりかえし転倒する発作と認知症を呈したLissauer型進行麻痺と考えられた1例
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概要
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症例は52歳男性である.主訴は転倒する発作,右手の使いにくさとものわすれであった.神経学的に右上肢の不随意運動と巧緻運動障害,高次脳機能障害をみとめた.血清と髄液の梅毒反応は強陽性,左大脳半球は脳MRIで萎縮,脳血流シンチで血流低下,脳波で徐波化をみとめた.バルプロ酸ナトリウムの内服後に転倒発作は軽減した.Lissauer型進行麻痺(LNS)と診断し,PCG(2,400万単位/日)の2週間の投与後に,右上肢の巧緻運動障害と高次脳機能障害,血清と髄液の梅毒反応,画像所見が改善した.LNSは巣症状と限局性脳委縮を呈する神経梅毒のまれな亜型であり,非可逆的神経障害にいたる前の早期診断と治療が重要と考えられた.
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