患側の外転神経麻痺と対側の核上性顔面神経麻痺をともなう交代性片麻痺を呈した橋梗塞の1例
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概要
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症例は73歳の男性である.右方視時の複視と左上下肢の筋力低下のため入院した.入院時,右眼の外転制限・左核上性顔面神経麻痺・左片麻痺がみられた.MRIでは右橋下部底部の傍正中域から外側領域に梗塞がみられ,MRAでは脳底動脈の軽度狭窄がみられた.本症例の梗塞は脳底動脈のアテローム硬化によるbranch atheromatous diseaseと考えられた.皮質脊髄路と核下性外転神経線維が障害され片麻痺と外転神経麻痺が生じ,核上性顔面神経麻痺は皮質核路の障害によるものと推定した.外転神経麻痺をともなう交代性片麻痺の報告は少ないが,橋病変による核上性顔面神経麻痺の発症機序を考える上で,本症例を貴重な1例と考え報告する.
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