ヒト口腔扁平上皮がんHSC-3細胞におけるヒートショック転写因子1のノックダウンによって誘導される細胞死に関与する遺伝子
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概要
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ヒートショック転写因子1 (HSF1) は, ヒートショック転写反応における主要な調節因子であり, また, 様々ながん細胞機能においても重要な役割を演じている. 本研究では, HSF1によるがん細胞機能調節の分子メカニズムを解明する目的で, HSF1ノックダウン細胞とコントロール細胞との間の遺伝子発現の差異を比較した. ヒト口腔扁平上皮がん (OSCC) HSC-3細胞のHSF1の抑制は, 低分子干渉RNA (siRNA) を用いて行った. 細胞へのHSF1に対するsiRNA導入によりほぼ完全なHSF1のタンパク質レベルのノックダウンが観察され, このノックダウンは有意に生細胞数を減少させ, 有意に細胞死を上昇させた. 網羅的な遺伝子発現解析により, HSF1ノックダウン細胞において2倍以上発現変動する増加31遺伝子と減少98遺伝子が示された. 発現増加と発現減少する遺伝子群から各々遺伝子ネットワークUとDが得られ, 興味深いことに, 各々のネットワークの機能は細胞死の誘導と細胞死の抑制に関連した. 以上より, HSF1ノックダウンは数多くの遺伝子の発現に影響を与えることが示された. また, 今回得られた知見はOSCCのHSF1誘導細胞死の分子基盤解明における新たな切り口になると考えられる.
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