食道癌術後再発に対する長期温熱療法の経験
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概要
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温熱療法は化学療法・放射線治療・手術などに比較して低侵襲な治療法である. しかし, 長期間温熱療法の安全性に関する報告は認められてない. 今回, 4年間の長期間に86回の温熱療法を施行した症例を報告する. 症例は, 65歳男性, 胸部中部食道原発の進行性食道癌患者である. 食道癌に対する治療として, まず胃管再建による食道亜全摘術が施行された. しかし, 術後5ケ月目のCTにて上縦隔と左鎖骨上窩に再発巣を認めた. 再発病変に対する治療としては, 温熱療法併用下に化学放射線療法が施行された. 放射線治療は, 再発病巣へ線量60 Gyが投与され, 同時併用としてCDDPと5FUを含んだ化学療法が施行された. 温熱療法は, RF誘電加温装置 (サーモトロンRF-8, 山本ビニター社製) にて週2回, 50分/回の治療が行われた. 治療終了時の評価CTでは, 病変の縮小を認めた. 追加治療としてCDDPとTS-1による化学療法と週2回の温熱療法を2週間施行した. その後, 再々発予防目的に週1回もしくは3週に1回の割合で温熱療法を3年半継続した. 現在, 長期間温熱療法に伴う明らかな有害事象は認められておらず, また, 再々発病変も認められていない.
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日本ハイパーサーミア学会 | 論文
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