夏期湛水条件がヒメアマナズナ,クジラグサ,グンバイナズナ種子の生存に及ぼす影響
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概要
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長野県のコムギ連作圃場では,アブラナ科の帰化雑草であるヒメアマナズナ,クジラグサ,グンバイナズナの発生が拡大し,多発により収穫放棄圃場まで出現している。本試験では,3草種に対する耕種的防除技術を確立するため,コムギ収穫後の夏期の圃場管理が種子生存に与える影響を検討した。3草種の種子は,畑条件ではほとんど死滅しなかった。湛水条件と畑条件を繰り返す間断湛水管理では,2ヶ月間の処理によっても発芽可能種子割合は0∼90%と年次間変動が大きかった。一方,湛水条件では,3草種とも発芽可能種子割合が1ヶ月間湛水では10%程度に,2ヶ月間湛水では3%未満に減少した。また,グンバイナズナが多発した転換畑では,水稲作への復元により,埋土種子量は,水稲作付前の約90,000粒/m2から水稲収穫時には約6%に減少した。また,水稲作後のコムギ作での発生密度は75個体/m2であり,この発生密度は多発生に区分される。したがって,夏期湛水管理は供試した草種に対する防除手段として有効であるが,多発圃場における埋土種子根絶には,2作以上の水稲栽培への転換が必要と考えられる。
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