スクラッチ法によるカンキツグリーニング病の迅速簡易診断
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概要
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カンキツグリーニング病 (HLB) の罹病葉内に異常蓄積するデンプン検出による迅速簡易診断法の開発を行った. あらかじめPCR検定によってHLB感染の有無を判定したシィークワーシャー, オートーおよびポンカンの3種において, ヨウ素比色法による葉内デンプン含量を比較した結果, 3種とも健全葉と比較してHLB感染葉で高い濃度のデンプンが検出され, 平均値は健全葉が85.6mg/kgであったのに対し, 感染葉では514.2mg/kgと約6倍の著しいデンプンの蓄積が認められた. この結果をもとに, 葉内デンプンを抽出するために, サンドペーパーを用いたスクラッチ法を考案した. まず, 葉表をサンドペーパーで20回程度擦り, そのサンドペーパーを水1mlの入ったビニールパックに入れる. その後, 50mMのヨウ素溶液を25μl添加し染色させる. 水溶液が濃いこげ茶または黒であれば陽性, 黄色または橙色であれば陰性となる. 現地から採取した試料におけるスクラッチ法とPCR法とのHLB罹病判定比較を行った結果, 樹および葉あたりともに90%以上の高い一致率が認められた. また要素欠乏症状を呈した葉およびCTLV, HSVd感染葉では, スクラッチ法によるHLB陽性反応は認められなかった. 以上の結果, スクラッチ法は圃場におけるカンキツグリーニング病の迅速簡易診断法として有用と考えられた.
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