GIS3次元表示を用いた岩手県三貫島オオミズナギドリ繁殖個体数の推定
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概要
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集団繁殖する海鳥の営巣数および繁殖個体数はこれまで2 次元面積を用いて推定されることが一般的であった.起伏に富む繁殖地に営巣する海鳥種や個体群では,この方法では巣の分布面積が過少評価され,推定数が実態より少なく見積もられることが懸念される.本報告は岩手県三貫島で実地調査したオオミズナギドリの植生タイプ別の巣数と繁殖個体数を,地理情報システム(GIS) を用いて標高を反映した3 次元面積で求め,2 次元面積で算出した結果と比較した.その結果,3 次元で求めた植生帯面積は2 次元で求めた面積の1.3倍になり,三貫島の地形,植生,地質条件下において,3 次元面積法による総推定巣数は,2 次元面積法の1.2 倍となった.3 次元面積法で得られた三貫島のオオミズナギドリ繁殖個体群の規模は,巣穴数約101,000 巣,巣立ち雛(巣数)約41,000羽(巣),および孵化時の繁殖個体数は約109,000羽と推定された.三陸沿岸の島嶼では,同所繁殖する小型ウミツバメ類がオオミズナギドリの営巣活動で減少する事例が指摘されており,三陸沿岸でオオミズナギドリが最も多く繁殖する三貫島でもウミツバメ類(特に絶滅危惧種ヒメクロウミツバメ)に対する競争排除が憂慮された.
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