心嚢を取り囲むように増生した縦隔嚢胞性リンパ管腫の1切除例
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概要
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症例は62歳,男性.健診で胸部異常陰影を指摘され精査目的に当科を受診した.CT検査で縦隔腫瘍陰影を認め,病変は前上縦隔から心横隔膜角まで,左右方向は心嚢に沿って両側肺門部まで存在していた.経過観察中に,陰影の増大と,安静時胸痛および前胸部絞扼感が出現したため,初診より15ヵ月後に診断,治療目的に手術を施行した.胸骨縦切開で開胸すると,胸腺および周囲脂肪組織内に多房性嚢胞を広範囲に認め,嚢胞内には淡黄色の漿液性液体が充満していた.周辺臓器への浸潤はなく,両側胸腔鏡補助下に腫瘍を切除した.免疫染色検査でリンパ管内皮マーカーのD2-40が陽性であり,肉眼的所見と合わせ嚢胞性リンパ管腫と診断した.胸腺,周囲脂肪組織内の広範囲にわたって嚢胞性リンパ管腫を認め,腫瘍の進展形式とともに極めて稀な症例であると考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文