多中心性に発生した前縦隔atypical lipomatous tumorの1例
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概要
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症例は62歳男性,前胸部絞扼感にて当院受診,胸部CTにて心臓を圧排する85×44 mmの腫瘤を前縦隔左側に認めた.胸部MRIではT1強調画像で高信号,T2強調画像で軽度高信号,脂肪抑制T2強調画像で低信号であり,前縦隔脂肪腫疑いにて胸腔鏡下にて前縦隔左側の腫瘍を摘出した.病変は被膜を有し周囲脂肪組織とともに全摘出した.術後病理ではatypical lipomatous tumor(well differentiated liposarcoma)であった.しかし半年後のフォローアップ胸部CTにて心臓前面から横隔膜にかけての前縦隔右側に新たな腫瘤影出現あり,胸部MRIでは左側病変と同様の所見であった.胸腔鏡下に周囲脂肪組織を十分に含めて前縦隔下部右側の腫瘍を摘出した.腫瘍は同様に被膜を有し前縦隔左側の脂肪組織とは連続性が見られず,病理でも前回同様の所見で,多中心性発生と考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文