ドレーン留置創より発生したデスモイド型線筋腫症の一切除例
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概要
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胸腔ドレーン留置がデスモイド型線維腫症発生に関与したと考えられる稀な症例を経験したので考察を加え報告する.症例は37歳女性.潰瘍性大腸炎と医原性気胸の既往を有していた.左乳房下の違和感から前医を受診し乳腺腫瘍疑いとして乳腺外科に紹介となるも,胸部CTで左前胸壁の腫瘤を認め,針生検にてデスモイド型線維腫症との診断から当科紹介となった.手術は腫瘍から切離断端まで十分な距離をとり,第5,6肋骨合併切除のうえ切除,摘出,胸壁再建を行った.腫瘍は胸腔ドレーンが挿入されていた第5肋間近傍から発生しており,臨床的にドレーン挿入処置が発生因子と考えられた.この様な比較的単純な手技でも,潰瘍性大腸炎のごとく炎症性素因を有する症例ではデスモイド型線維腫症が発生し易い可能性があり,外科手技の必要性をよく検討のうえ,より愛護的な手技に努めることが重要と考えられた.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文