生体肺移植ドナー手術手技の工夫
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概要
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われわれが行っている生体肺移植ドナー手術の工夫を紹介する.①左房クランプ滑脱への備え:切断前に予めクランプよりグラフト側の左房両端に糸針をかけ,切断後に万一クランプが滑脱しても断端を引き出し再クランプできるようにする.②気管支鏡的な気管支切離部位決定:右側ドナーでB6と底区がメガネ状に分かれるのを防ぐため,切離予定部に25 G針を術野から刺し,気管支鏡で気管支開口部との位置関係を確認する.③心膜パッチによる肺動脈形成.④簡易心嚢閉鎖法:ドナー手術では,胸水関連合併症が多く経験される.切開した心嚢の縫合閉鎖は困難なので,心嚢前縁と,食道または下行大動脈を覆う後縦隔胸膜を連続縫合する.後ろ向き検討では,心嚢閉鎖群は開放群と比べ術後胸水が有意に少なかった.これらの生体肺移植ドナー手術における工夫は,一般呼吸器外科手術における左房合併切除,気管支血管形成にも有用である.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文