喀血で発症した肺癌手術直後の残存肺肺気瘤の1例
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概要
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症例は72歳,男性.右肺扁平上皮癌の診断で胸腔鏡下右肺上葉切除術を施行した.高度肺気腫と分葉不全のため肺動静脈と気管支を切離した後に葉間を作成した.術後2時間後,多量の喀血が認められ,人工呼吸器管理を開始した.胸部CTと局所麻酔下胸腔鏡検査で術後S7に発生した肺気瘤が原因と考えられ,術後8日目に右肺S7+8区域切除術を施行した.術後,肺炎と膿胸を併発し,二期的胸郭成形術を行い入院より9ヵ月後に軽快退院した.分葉不全と気腫肺のためステープルラインが厚くなり,切除線に過大な張力がかかったことが原因と推察され,このような場合には縫合や結紮などの追加の補強処置が必要な可能性が示唆された.また,肺気瘤症例において,多量の気道出血が持続する場合には早期に外科的治療を行うべきであると思われた.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文