胸背部痛を契機に発見された縦隔原発滑膜肉腫の1例
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概要
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滑膜肉腫は若年の成人に好発する悪性軟部腫瘍で,好発部位は四肢の関節近傍部で縦隔に発生することは稀である.今回縦隔原発滑膜肉腫の症例を経験したので報告する.症例は73歳男性,胸背部痛を主訴に救急搬送された.胸部CTで大動脈肺動脈窓に62×52 mmの嚢胞性腫瘤を認め,診断および治療目的で手術を施行した.腫瘍は大動脈および肺動脈本幹に癒着を伴って存在した.腫瘍の剥離は困難であり,迅速病理結果では悪性所見は認めなかったため,可及的切除に留めた.永久病理検査で上皮細胞と紡錘形細胞が増殖する二相性の構造を示し,遺伝子検査からSYT遺伝子領域の切断異常を認め,滑膜肉腫と診断した.術後Ifosfamide投与を4コース行い,手術より1年5ヵ月経過した現在,再燃の兆候は認めていない.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文