椎間孔に向かって発育した限局性悪性胸膜中皮腫の1例
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概要
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椎間孔に向かって発育する神経原性腫瘍の報告は多数みられるが,限局性胸膜中皮腫が椎間孔に浸潤した報告は少ない.症例は63歳の男性.1ヵ月前より背部に違和感が出現したためかかりつけ医を受診,胸部X線写真ならびに胸部CTにて右後縦隔に腫瘍を認めたため当科を受診となった.腫瘍は一部椎間孔に進展していた.右後縦隔腫瘍の画像診断にて,腹臥位での背側アプローチによる神経根切離,ならびに左側臥位での開胸による腫瘍摘出術を施行した.病理学的に肉腫型悪性胸膜中皮腫の診断であり,術後放射線治療を追加した.術後5ヵ月で再発したため化学療法を開始した.しかし,本人の希望により化学療法はその後中止となり,術後15ヵ月で死亡した.今回,椎間孔に向かって発育した限局性悪性胸膜中皮腫の1例を経験した.このような腫瘍進展形式において神経原性腫瘍は多いが,限局性中皮腫は稀であり報告した.
- 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会の論文