環境調和型オフセット枚葉インキの原材料と印刷に関する各種基準
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概要
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印刷市場も2000年辺りから環境に関する「基準」が整い始め, その代表として・日印産連 (日本印刷産業連合会) : 「グリーン基準」・グリーン購入ネットワーク (GPN) : 「オフセット印刷サービスガイドライン」・日本環境協会エコマーク事務局 : 「紙製印刷物のエコマーク Ver 2.0」があり, クライアントや印刷会社からも判断基準が分かり易く, 徐々に普及し始めている。各基準とも「グリーン原則」として以下の5項目を挙げている。(1) 体に危害を及ぼす物質を使用していない(2) 塩素系樹脂を使用していない(3) PRTR指定物質を考慮している(4) VOC発生を抑制している(5) 古紙再生阻害要因の改善に配慮している特に(4) についてはインキの開発・設計に大きく関係しており, 近年の「環境対応設計」は「VOC対応」と言っても過言ではない。VOC (Volatile Organic Compounds) とは揮発性有機化合物の略語で, オフセットインキの組成では「石油系溶剤」がこれに該当する。溶剤の種類もそのスペックから様々であるが, 含有量を抑えるばかりでなく, できるだけ環境にやさしい種類を使用するような内容となっている。特に「エコマーク」に関しては02年に改定され, 溶剤の種類や含有量まで基準値を設けた厳しいものとなっている。インキ業界としては1995年に有害物質である芳香族成分を1%以下に抑えた「アロマフリー溶剤」を採用し, 98年には植物油として大豆油を使用した「大豆油インキ」が開発された。大豆油インキは単に大豆油を使用しているというだけでなく, 含有量の基準値 (例 : 枚葉インキは20%以上) を設ける事で, 石油系溶剤の含有を抑えるという効果により「やさしさ」を表している。現在究極の環境対応は「NonVOCインキ」であり, VOC成分の石油系溶剤を全く含まないインキである。しかし, 従来の「溶剤を含むインキ」に比べ, 印刷適正 (乾燥性等) が追い付いていないのが現状で, 今後の課題となっている。
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