琉球在来ブタアグーの射出精液分画と精漿が精子凍結融解後の運動性に及ぼす影響
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概要
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琉球在来ブタアグーの精液凍結保存は,近交退化が起こりつつある本種において重要な技術となる。アグー精液には視覚的に精子濃厚部が存在しないために,精液の凍結には全量採取した精液が用いられている。本研究では,アグー精液の効率的な凍結手法を開発する目的で,まず,射出後の最初の100 mLの画分(Portion 1)に濃厚部が存在するか否かについて,その他の画分(Portion 2)と比較検討した。その結果,精子濃度はそれぞれ7.6および0.7×10<SUP>8</SUP> spermmLとPortion 1で明らかに高かった(P<0.05)。次に,それぞれの分画の精子の耐凍能を評価した。Portion 1精子はPortion 2と比較して凍結融解後有意に高い精子生存指数を示した(P<0.05)。これら分画間の耐凍能の違いが精漿に依存するかを明らかとするため,各分画の精漿を置換する実験を試みた。しかし,Portion 1区とPortion 1rep区(精子;Portion 1,精漿;Portion 2)およびPortion 2区とPortion 2rep区(精子;Portion 2,精漿;Portion 1)それぞれにおいて,精漿置換による効果は認められなかった。これらの結果は,Portion 1の精漿中にPortion 2と同様な精子希薄部がすでに混入していたためであると推察した。そこで,精液採取時にPortion 1の画分において,25 mLずつ連続的に採材し,各分画をPortion 1-1,1-2,1-3および1-4とグループ化後,それぞれの精液特性を調査した。それぞれの画分の精子濃度は,23.6(Portion 1-1),14.4(Portion 1-2),2.9(Portion 1-3)および1.4(Portion 1-4) ×10<SUP>8</SUP> spermmLであり,Portion 1-1と1-2が濃厚部であることが明確化された(P<0.05)。これら濃厚部における分画精子は高い耐凍能を有しており,凍結前にこれらの精子にPortion 1-3と1-4の精漿を添加すると,融解後の精子のクオリティーが低下したことから,精漿が耐凍能を制御していることが分かった。これらの結果を基に,射出後最初の50 mLを精液凍結に用いる手法を考案し,常法の全量採取した精液を凍結する手法と比較した。新規手法は融解後の運動率が82%と常法の25%と比較し,有意に高い値であった(P<0.05)。本研究により考案された手法は,貴重なアグーの遺伝資源保存に大きく寄与すると期待される。
- 日本養豚学会の論文
著者
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野中 克治
沖縄県畜産試験場
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貝賀 眞俊
沖縄県畜産研究センター
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手島 久智
大分県農林水産研究指導センター畜産研究部
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當眞 嗣平
沖縄県畜産研究センター
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生駒 エレナ
鹿児島県農業開発総合センター畜産試験場
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知念 司
沖縄県畜産研究センター
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岡﨑 哲司
大分県農林水産研究指導センター畜産研究部
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