有機 EL 素子の正孔注入層としてのポリアニリンナノ薄膜
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概要
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ラングミュア-ブロジェット法を用いて成膜されたポリアニリンナノ薄膜を有機 EL 素子の正孔注入層に適用した.その膜はクロロホルムなどの有機溶媒に可溶でかつ両親媒性高分子であるポリアニリン/ドデシルベンゼンスルホン酸ポリイオン複合体からなる水面上単分子膜を ITO 陽極上に移し取った単分子 LB 膜である.ポリアニリンナノ薄膜の正孔注入能を調べるため,電子輸送性および発光材料であるアルミニウムキノリン錯体と正孔輸送材料であるトリフェニルジアミン誘導体からなる代表的な有機 EL 素子構造を用いて素子特性を評価した.ポリアニリンナノ薄膜の導入により発光開始電圧は 7.0 V から 6.0 V へ低電圧化し,注入電流,発光輝度は約一桁増加し,ポリアニリンナノ薄膜の正孔注入効果を明らかにした.さらに,ポリアニリンナノ薄膜の電子状態を電気化学的に制御することにより部分酸化のエメラルディン塩(ES)から完全酸化のペルニグラニン塩(PS)へ変えたところ,PS 状態でより大きな注入電流および発光輝度が得られた.しかし,キャリヤーバランスが崩れたため電流効率,電力効率は低下した.スピンコート膜と比較すると,発光開始電圧はポリアニリン膜の有無が重要であり,膜厚には無関係であることが明らかとなった.
- The Society of Polymer Science, Japanの論文
The Society of Polymer Science, Japan | 論文
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