比較的稀な部位に生じた Spindle Cell Lipoma (Myxoid Variant) の 3 例
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概要
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比較的稀な部位に生じた spindle cell lipoma(SCL)の 3 例を報告する。症例 1 : 57 歳の女性。右臀裂部の触診で直径約 2 × 3 cm の皮下腫瘍。MRI で T1 高信号と低信号領域が混在し,T1 高信号領域が T2 脂肪抑制され,T1 低信号領域は T2 造影にて増強された。粘液の付着した黄白色の腫瘍が摘出された。症例 2 : 67 歳の男性。左下腿の 9 × 8 × 5 cm の大型の有茎性皮下腫瘤。MRI で腫瘍内に T1 高信号と低信号領域が混在し,T1 高信号領域が T2 脂肪抑制され,T1 低信号領域はT2 造影にて増強された。摘出された腫瘤の半割面は黄色で光沢のあるゼリー状の外観を呈した。症例3 : 81 歳の男性。前額部に直径約 2.5 cm のドーム状に隆起した皮下腫瘍。超音波検査にて周囲脂肪組織と比して比較的境界明瞭な等エコー領域を認めた。粘液の付着した黄色腫瘍が摘出された。病理組織検査では,いずれも成熟脂肪細胞の増生部分と紡錘形細胞と膠原線維の増生部分が混在し腫瘍内の紡錘形細胞は全例で CD34 陽性であった。Alcian blue 染色で腫瘍の間質全体に豊富なムチンが認められ,SCL の myxoid variant と診断した。臨床所見からは脂肪腫が疑われるような皮下腫瘍で,非典型的な画像所見が得られた場合は,好発部位ではなくても SCL を鑑別にあげる必要があると思われた。病理組織学的には,成熟脂肪細胞と膠原線維に加え紡錘形細胞の増殖を認めるが,紡錘形細胞の確認には CD34 染色が有用であった。さらに,Alcian blue 染色による腫瘍の間質全体へのムチン沈着を確認することで myxoid variant の確定診断が可能となった。
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日本皮膚科学会西部支部 | 論文
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